「地域の将来の行方」


東京で活躍されているデザイナーの浅井由剛さんと連携し3年前から無料冊子「KURURA」を製作しています。最初の年は伊豆市商工会と 昨年は子ども夢基金の財源で、そして今年は「伊豆市こども未来塾」を中心として 静岡県との連携で実施されることになりました。

 

この取組みについて少し書きたいと思います。 まずは「目的」

 

KURURAを最初に作ったのは修善寺南小学校の生徒達、授業の一環で始まりました。とかくこの手の冊子は「無料のフリーペーパー」と考えられがちですが実は目的としては違うところにあります。

僕自身が最近講座で使う二つのキーワードで例えると「タッチポイント」と「アウトプット」になります。伊豆市でも全国でも少子高齢や人口流出が危惧されるなかで対策がなかなか打てない状況です。しかしなぜ若者は都会に出て行くのか、そこを検証しなければ実はこの問題の根本には辿り着けないと考えています。つまり「地域のことに触れる時間」「地域のひとに会う時間」「地域の未来のつくりかた」などを 実はあまり学んでいないという事があると思います。

 

例えば大人でも「あの旅館は有名だよね」という風に観光地ではなりますが、営んでいる方とお会いする機会はほとんどありません。だから実際近くても遠い存在になっている部分があると考えます。

ではもっと若い時 いわゆる子ども時代に地域と触れたり 地域のひとに会う「場」を創ってはどうかということになります。実際子ども達が 大人と一緒に取材先を検討し アポイントを取り 実際にバスに乗って地域の経営者や施設にインタビューに行く、写真も撮る そして編集も教えてもらい デザイナーさんに提出、そこから編集という流れです。特にこの「デザイナー」さんとのやり取りが実は大切であり、壁新聞と違う所はアウトプットのカタチが「本物」だということです。子ども達が完成品を見たときの感動がそのまま経験や知識が大切ですし、何よりデザイン性を高める事は地域には重要な事です。

 

「効果」としては いくつかの方向性が考えられると思っています。子ども達に関しては地域を知るきかっけから、取材をして親近感が涌く そして「知っている」ということから「愛着」へと変化して行くことです。人材育成というのは時間が掛かりますし効果が見えにくい事もあって 今まで中長期の施策で学校以外で取組むことは少なかったと思うのですが、このように徐々にではありますが浸透する事で確実に地域の土台が出来て行くと思います

 

また取材に同行する大人チームも子ども達と一緒に行動する事で「教える」という事や実際に取材に行くという事で地域を知ることにも繋がります。 先に書いた教えるの部分ですが これは物凄く大事な事で「人に教えることで 実は自分が1番成長する」ということがあります。 よくディスカッションなどをして自分が言いたい事だけをいう人がいますがそれでは相手には伝わりません。この伝え方は教えてもらってどうにかなるものでも無く やはり現場で実践することが1番です。 それが段々馴れてくると自分自身が「アウトプット」できる人になっていきます。ここが素晴らしいことなんですね

 

そして「取材を受けて頂く側」の皆さんにもメリットがあると思っています。フリーペーパーの効果としては測定をしていなくてはなりませんが、新聞や雑誌の広告欄の様に短期的なインパクトを望む事は出来ないかもしれませんが、お忙しい中でインタビューを受けて頂く事は実際「知ってもらう」ということに繋がりますし 同行する大人と同様なのですが子どもにお店や仕事の説明をすると言う事は「説明を簡素化」しなくてはなりません。つまり軸や売りなどを再確認するチャンスだと思うのです、また地域でこのような取組みをしていることに協力して頂いているという事が施設としてのクオリティーを将来的に上げて頂けることにも繋がると考えています。特にインタビューしている子ども達はこれから何十年もこの日の事を覚えていて商売で1番大事な「リピーター」として そして「口コミ」として 活躍するかもしれないからです。

 

 

最後に 今の伊豆市もそうですが全国的には地域から人が出て行く傾向になっています。実際この流れを変えていこうとか「この地域の残って!!!若者!!」 と言ったところで 今の大人達が実際に出て行って帰って来たりしているのに 若者だけに出て行くなというのは物凄くおかしな話です。確かに時代は変わっていて20年前とはまったく違う世の中ですが、そもそも今までの事が「正しかったか」という分析をしていないのかもしれません。kURURA自体でそのような大きなことを検証する事はできませんが、ひとつひとつ足元から組み立てて行くことで将来的に大きなことへと繋がると感じています。高校を卒業して大学や仕事で都市へ行くのは構わないと僕自身は思っています。しかしその時に 自分の周りの方へ「伊豆は良い所ですよ!ぜひ遊びに行ってください!」と毎日言えるくらいの営業マンとして都会へ行ってくれたら地元としてこれ以上頼もしいことはありません。 人に伊豆へ行来たいけどどこの宿がいい?と聞かれても「ネットで探した方がいいですよ」と言ってしまっては元も子もない・・・ こうやってひとつひとつクリアして行く事が 実は地域の将来を創る「キーポイント」だと僕自身は思っています。もちろんこれは中長期のプランニングですから 短期的な地域活性のプランニング 地域経営の計画を立てなくてはなりませんが、 10年後の未来を創りながらのダブルスタンダードで動いていくのが これからの地域で大切な事になると考えています。

 

今年度も多くの子ども達が参加してくれることになっていますが ぜひ素晴らしい時間を過ごして頂きたいと思っています!