伊豆は「ひとつ?」になるのか

9月22日・23日に静岡県三島市で行われた「伊豆経済大学」 このイベントで三島で有名な「大社の杜」

を運営されている加和太建設専務 そして下田を中心にビジネス展開している株式会社ヴィレッジインクの橋村社長とパネルディスカッションをさせて頂きました。仕切りは三島市役所地域ブランド創造室長の小嶋さん。


短いパネルディスカッションの時間の中で色々なことをお話しましたが、最後の方で会場から


「伊豆をひとつにするにはどうしたらいいか」 


「人を集めて行く方法は」 


「事を起こして行くプレッシャーに対して」 


などの質問が出ました。 この中で 今日は「伊豆をひとつにするにはどうしたらいいか」

について書いてみます。


まず、この話は多くの場所で聞く話なのですがいくつか問題点があります。


1・誰が伊豆をひとつにしたいのか

2・何の為に伊豆をひとつにするのか

3・ひとつになると どんなメリットがあるのか

4・どうやってひとつにするのか


という事です。ワードとして「伊豆をひとつに」はわからなくはありませんが、ゴール設定が

されていなければ向かう方向がわからなくなりますし、そもそものスタートも出来ないと考えています。


そもそも誰に対してひとつにしなくてはならないのか。これは非常に大きな事ですね、【行政的】には

いま「美しき伊豆創造センター」という新しい組織が生れ 13市町から行政の方が出向で集まり伊豆を盛り上げて行こうというものが出来上がりました。来年から本拠地は静岡県伊豆市修善寺に設置予定。

目的としては


(1)伊豆半島の地域振興を図るための企画・調整・立案に関すること 
(2)伊豆半島に共通する誘客事業を国内外において展開すること 
(3)伊豆半島の自然・文化・歴史・産業等の情報収集及び情報発信に関すること 
(4)伊豆半島のインフラ整備・景観の保護・ユニバーサルデザイン化の推進に関すること 
(5)伊豆半島に地域振興を図るための人材育成に関すること 
(6)伊豆半島ジオパークの推進に関すること 
(7)伊豆半島全体の道路ネットワークの活用による地域活動の創造に関すること 
(8)伊豆半島の防災対策の啓発、促進に関すること 
(9)その他目的達成に必要な事項に関すること


というメニューがあります。会社でいえばコンソーシアムとかダイバーシティというのだと思います。

行政的な目線だとなるほどと思います。


しかし、これが地域の民間になると地域振興よりもまずは自分の会社。利益を上げて社員の幸せをまずは

確保する事。というような形になります、他社とタッグを組むというのは技術を相互に共有すると結果として「お客様のニーズ」「会社の成長」「利益」「社員の幸せ」という話になりますから地域を全体的にひとつにしようというのはウェイトは下がって行くと思います。実際、民間の立場での地域貢献というのは恊働でもなく連携でもなく根本的には「雇用と納税」になります。


では どうしたらよいのでしょうか。


これはあくまでも僕自身が思っていることですが、短期的に伊豆をひとつにすると言うのは「伊豆半島以外の方へのおもてなし」の部分をゴールとするとした方がわかりやすいと思います。簡単にいうと観光客の方へどうやって情報を提供するかという点だけに特化した方がいいのではないでしょうか。

他地域からお越しの方は伊豆が13市町だろうと1市町だろうと関係はありません、行きたい場所へ行ければいいのだし 何か巡る場所の情報があればよくて その情報を得たあとは自分たちでアレンジをするはずです。 自分も観光地で仕事を営んで来たのでよくわかりますが、他の地域へ行った時に自分が感じた不便を伊豆でひとつづつ解決して行けば良いのだと感じます。だから車の場合ならば道の駅に情報を集約して行くことも大事だし、電車の場合なら駅の案内所はとても重要。そして個々の施設の方々が共通認識を持って「伊豆を背負って」仕事をするという事ならば「ひとつ」になるのではないかと思います。観光の方が増えれば比例して移住の方も増える、また地域の商店や会社も潤って行く事になります。観光とはまったく関係ない仕事をされている方でも観光客の方おいでくださることで、伊豆半島はある程度の割合で担保されているという事がありますし、やはり「品よく儲ける」という部分でしょうか この儲けがないと民間は続ける事が出来ませんから。


もうひとつ中長期に関してですが、これは「地域愛」を育てる事が大切ではないでしょうか。観光地で人気のある場所は必ず「地域愛」がもの凄く高く 地域に誇りを持っている人が多い。「この町はだめだ」ということは言いません。 ではどうしたらいいのか、地域の産業や観光を担うのは未来の人です。だからこそ伊豆全体をカバーした「本」が必要かと考えますね、静岡県熱海市では小学1年生用に郷土読本があります。ちゃんと小さい頃から地域のことを本で学ぶ機会があるんですね、ならば伊豆半島全体の教科書があっても良いと考えますし、遠足も他の地域にいくのも良いのですが 伊豆半島をもっとこどもの時から巡ってみることも大事だと考えます。講演でもいつも話をさせて頂きますが、この町から出て行かないでと若者に言ったところで止まる事はないと考えます、ならば「出て行ってしまう」という前提でものを考えた方がいい。若者が都会へ進学や就職で行ってしまったとしても その住まう場所で自分の地元に対して貢献出来ることはいくらでもあります。例えば毎日「伊豆は凄いんだよ」って誰かに話して欲しいということです。いくら良いものがあって いくら良い施設があっても 「情報が届かなければ」 知らないで終わってしまいますから 伊豆の営業マンが増えるならと考える方がベターかと思います。

と ここまでは地域活性的な目線でお話をしました。



さて 伊豆をひとつに というワードを意識している訳ではありませんが、ドットツリープロジェクト

では多くの方に視察に来て頂こうと思っています。これも自分がもし視察に行った時の事を考えると

1つの場所だけでは行きにくい、せめて3カ所は欲しいという事を感じます。

そこで伊豆を見渡すと 実は民間100%出資の新しい取組みが「3つ」存在するのです。それが


静岡県三島市の 「大社の杜」


静岡県伊豆市の 「ドットツリープロジェクト」


静岡県下田市の 「NanZ VILLAGE」


大社の杜を運営されているのは「加和太建設」さん・ドットツリーを運営するのが「古藤田グループ」

(プロジェクトデザイン担当はNPOサプライズ) そしてNanZは「株式会社ヴィレッジインク」


そう今回パネルディスカッションをした3社を巡るパッケージが既に出来上がっているのです。

これってある意味「伊豆をひとつにしたパッケージ」になるんです。

またNPO目線のパッケージでいえば 熱海のマルヤを運営する市来くんや 富士吉原の佐野さんが

運営するマルイチとドットが連携するパッケージだって考えられます。



ひとつ思う事は どうしても「全部」をまとめるというイメージがありすぎて 逆にまとまらないという事です。 僕もいくつか経験をしていますが目的と目標がしっかりしていないプロジェクトは後で痛い目にあいます。元々クライアントが存在しなかったり、ユーザーの設定がされていない企画を見てきました、大事なことは「目的の明確化」なんだと思います。もうひとつは全部の人に届けない事、じゃないでしょうか。 そんな事を思ったパネルディスカッションでのひと時でした。